女王陛下のヨットクラブが主催する、
歴史的なヨットレースを海上から観戦。

思わず言葉を失ってしまうほど、見事な光景である。長い間、ヨットに乗り続け、夢中で外洋レースばかり続けてきたセイラーにとっても、なかなか見る機会のない壮観なヨットレース・シーンを目の当たりにし、ただただ圧倒されるばかりであるという。
季節は、英国の夏。イングランド南部の港町サザンプトンとワイト島の間を流れるソレント海峡で開催される、カウズウィークである。初めて開催されたのは、1826年。いまや、世界でもっとも歴史のあるヨットイベントのひとつとして、外洋レーサーや小型ディンギーなど、30以上ものクラスに1,000艇に近い参加艇がエントリーし、8,000名以上ものセイラーが乗り組んでいるという。

レースウィークが始まると、海面では、レース艇が観戦艇を避けながら走っているんじゃないかと錯覚してしまうほどの混み具合である。いったい、これだけの観戦艇がどこから湧き出してきたのだろうか。おかげで、ただでさえ激しい潮流による白波が際だっているソレント海峡が、さらに、レース艇と観戦艇の両方がおこしてしまう引き波で凄い状態になっている。海上からはもちろん、陸上からも、老いも若きも、女性も男性も、誰もが双眼鏡とビールやワインを片手に観戦。ちょうど夏休みということもあるのだろうが、週末もウィークディもまったく関係のない賑わいである。
おおぜいのセイラーや観戦者が訪れている、
カウズの街を満喫する。
カウズウィークを主催するのは、女王陛下のヨットクラブとして知られ、英国王室直轄のロイヤル・ヨット・スコードロン=R.Y.S.である。カウズウィークのカウズとは、ワイト島の中心地であり、主要なハーバーの名称。また、ロイヤル・ヨット・スコードロン=R.Y.S.は、このカウズの街の郊外、ソレント海峡を臨む絶好の場所に位置する。



歴戦の参加艇と、それを取り巻く無数の観戦艇に圧倒されながら、海の男たちの壮大な遊びが、ひと筋の明確な航跡を残してくれるはずだ。